February 12, 2006

シノッチャ

 処分するために 古い雑誌を整理していて、「サライ」に掲載されていた伊福部先生のインタビューを見つけた。興味深い箇所があったので、以下に引用しておく。

 「小学生だった私も、アイヌの子どもたちとごく自然につきあうようになりました。ちょうどその頃です。鳥肌立つような音楽を体験したのは」

ー どんな体験だったのですか

「あるとき、アイヌの友達の家に遊びに行くと、いつも吼える犬がいないんですね。”どうしたんだ”と聞くと、”あの犬は死んだ”というんです。すると奥の方からその家のお爺さんが現れて、”それにしても、あの犬はいいヤツだった。惜しいことをした”とかなんとかいってるうちに、いつの間にか歌になって、そのうちに朗々と歌い始めたわけです。私は、その歌を聴いているうちに、ちょっと考えらないような感銘を受けました。極端にいうと、催眠術にかけられて別世界に引き込まれてゆくような陶酔感。歌が終わってふと我に返り、”いまの歌はなんていう題名なの”と訊くと、”いや、題名もなにもない。お爺さんが、いまこの場で即興でつくった歌だ”と。
アイヌ語ですから意味はわかりません。ただ犬のことを”セター”というんですね。ところどころにその犬という言葉が入っているのが、わかる程度。あとで知ったことですが、こういう歌はアイヌの中で、『シノッチャ』と呼ばれる叙事音楽だったんです。」

投稿者 Mao : February 12, 2006 07:55 PM | トラックバック
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